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湘南お店情報
みなさんこんにちは!
「おいしいもの」「たのしいこと」が大好きな藤沢在住のライター・たかはしゆかです。地元LOVEの精神とたゆまぬ好奇心をモットーに、わくわくする湘南の情報をお伝えしていきます♪
藤沢橋から白旗の交差点へと続く旧東海道の道沿い、営業日にだけ掲げられている布製の“のぼり”をご存知ですか? 車だと見逃してしまいがちですが、よく見てみると食パンやクロワッサンなどのパンをかたどったかわいらしいアップリケがほどこされ、その裏には「Panふうど」の文字。今回は、藤沢本町駅から徒歩圏内にある、明治時代の蔵をリノベーションした自家製天然酵母パンのお店「関次商店パンの蔵 風土」をご紹介します。
20歳半ばで心機一転! 他業種からパン職人の道へ
お店を切り盛りするのは、パン職人の岩田和憲さんと主に接客を担当する佳奈さんご夫妻。元々は大学卒業後、教育分野で働いていた和憲さん。当時勤めていた保育の現場で、天然酵母特有の酸味と旨味のあるパンを口にして「こんなパンもあるんだ!」と、そのおいしさに感銘を受けたのだそう。
そのことをきっかけに、20歳半ばでパン職人の道にすすむことを決意。もちろんまったくの未経験、ゼロからのスタート。その時門を叩いたのが、日本における天然酵母パンの草分け的存在として名高い『ルヴァン富ヶ谷店』でした。見習いとして掃除からスタートし、徐々に生地に触れさせてもらえるようになり、パン作りの基礎を学びます。のちに奥様となる佳奈さんは隣接するカフェ部門の同僚だったそう。そして開業を視野に入れ、さらなる修行のため筑波の人気店『ベッカライ・ブロートツァイト』へ移ります。
一見するとパン屋とは思えない歴史を感じさせる蔵造り
旧東海道・藤沢宿の当時の風情を彷彿とさせる蔵は、1886(明治19)年築。内部には独特な土壁と天井には立派な梁を見ることができます。2016年には国の登録有形文化財に指定され、文化庁のホームページに「関次商店穀物蔵 (せきじしょうてんこくもつぐら)」として掲載されています。そんな歴史ある建造物でなぜ開業することになったのでしょうか。
和憲さんは埼玉のご出身。店舗探し当初は、慣れ親しんだ地元にある古民家などをイメージしていたのだそう。そんな折に知り合いの建築家を通じて、のちの店舗となる蔵を管理している大家さんを紹介してもらうことに。初めて訪れた時の感想を聞くと「まず外観のかっこよさに魅かれました」と。2018年4月に家族で藤沢へ越し、リノベーションを経て翌年1月にオープンを迎えます。
オーガニック小麦や有機材料へのこだわり
パン作りは朝3時から始まり、開店時間は午前9時。もっちりとした独特の弾力のあるカンパーニュやバターを控え全粒粉のざっくり食感が楽しめるクロワッサン、さまざまなシードをあしらった各種丸パンなど、10時頃にはほぼ全てのパンが長い木の板の陳列台に並びます。
「できるだけ添加物を入れずに小麦本来の風味を味わってもらいたい」という想いから、北米産のオーガニック小麦をメインに北海道産小麦などを厳選。また、要となる自家製天然酵母は小麦やレーズンから起こし、クロワッサンなどはドイツ製のオーガニックイーストを併用。ほかにも有機ナッツやドライフルーツなど、素材選びには強いこだわりが見えます。
季節や気候によって変化する気温や湿度で、納得のいくパン作りをするために頼りになるのはこれまでの経験則。「小麦も年によって質が違うし、生地を一晩寝かせて低温熟成させる庫内の温度も常に一定ではなかったりで自分の予想通りにいかないことも多い。でもそれらを日々考えて、工夫や消去法でやりくりする面白さがあるんですよね」と、マイナスに捉えがちな一面をも「自分にとってはやりがい」だという和憲さん。
バリエーション豊かな作り立てサンドイッチにも注目
風土の魅力の一つが種類豊富なサンドイッチメニュー。「ひとりでやっているのでパン自体の種類が少ない分、バリエーションを増やすためでもあるんですが…。自宅でサンドイッチを作るときのレシピ紹介という位置づけもあります」。ショーケースに並ばないメニューは、オーダーを受けてから専任の女性スタッフが手際よく仕上げていきます。人気は、タンドリーチキンサンドとあんバターサンド。また、ビーガンメニューとして豆のフムスやピーナッツバターサンドも用意しています。
店内でのイートインも可能で、お子さんとくつろげる小上がりの畳スペースも。産地や原料にこだわったオーダードリンクのほか、お茶の無料サービスもあるのがうれしいですよね。
パン文化のある湘南でこれからも
「湘南は開放的な土地柄もあるのか大家さんをはじめ、いい人が多くて助けられています。ハード系のパンはまだまだニッチな方だと思いますが、オープン当時から受け入れてもらえました。湘南エリアはパン屋も多いですし、パン文化が根付いている地域だと感じます」。
リノベーション後も土壁はそのままにしている店内。「台風など風の強い翌日は土が落ちていることもありますが、内部の湿度調整など、蔵を建てた先人の知恵を感じます」。現在は年1回イベント時のみ解放している2階ですが、今後はカフェスペースとしての利用なども考えているとか。
「有形文化財としての蔵を見るだけでも足を運んでもらいたいです。そして新たに菓子や発芽させた麦を取り入れたものなど商品の種類を増やして、今以上に穀物のおいしさを伝えていきたい」とその想いを話してくれました。
関次商店パンの蔵 風土(ふうど)
神奈川県藤沢市本町4‐5‐20(藤沢本町駅徒歩7分)
OPEN 9:00~15:00(売り切れ次第終了)
※ドリンクのラストオーダーは13:00前後
CLOSE 毎週月曜・火曜日と第2・4水曜日
Tel 090-2147-6314
定休日やそのほかの最新情報は、インスタグラム@fudo_ 2019でチェックを。
たかはしゆか
ライター&イラストレーター。生まれも育ちも藤沢という生粋の湘南人でありながら、太陽と海が苦手な夜行性。日常に散りばめられている「おいしいもの」「たのしいこと」を探してあっちこっちに出没しては、人脈を広げる活動にも余念がないちびっ子アラフォー。好きなものは旅、こけし、落語、納豆、カツオ、アルコール全般です。
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